本の内容
自然界の多くの生物は、生物と生物、生物と環境が深く相互に関係し、多様な相互関係を維持しながら共存して複合生物系を形成しており、その多くは従来私どもが教えられて来た単一生物では得られない多様な機能を有しているものと考えられます。パスツール、コッホ以来の単一微生物を対象とした従来のバイオ技術では、取り扱い可能な微生物は0.1~1%前後と言われています。この為、多くの微生物資源が未利用の状態で取り残されてきました。
従来の単一微生物機能を求めたバイオ技術の枠を越えて、複合微生物系が持つ高度な機能の利用を求めた解析技術、分離培養技術等の開発を目的とし、平成9年度(1997年度)世界に先駆けて「複合生物系等生物資源利用技術開発」プロジェクト(NEDO)が始動し、13年度(2001年度)までの期間中、数々のオリジナルかつ日本発の技術が開発されてきました。そしてこれらの活動と成果は、その後の「生分解プロジェクト」、「未知微生物プロジェクト」にも引き継がれ、複合微生物系においては日本が欧米を数歩リードしている状況にあります。
このような状況をふまえ、日本の強みを生かした複合微生物の産業利用と新産業創出を意識し、複合生物系プロジェクトでのオリジナルな技術に、さらに最新の優れた成果を加えて、とくに「モニタリング技術」と「新産業創出への展開」を2本柱とした書籍の編纂を(株)シーエムシー出版と共に企画をしました。本書では、複合微生物系に関して最先端の研究に従事されている先生方にご執筆をお願い致しております。
本書の想定される読者層は、医薬・食品・機器メーカー、環境や水処理に関わる企業の開発担当や研究者の方々など、多方面に渡ります。また、この分野への取り組みを検討中の方々、すでに取り組みを開始された方々、あるいは今まさにその展開に頭を悩まされている方々など、さまざまな段階の読者の方々にとって、本書が有用な情報を提供し、恰好の道標や地図の役割を果たすことを期待するものです。
(「はじめに」より)