本の内容
2007年サブプライム危機に似ているといわれる1907年金融恐慌について、取り付け騒ぎで騒然とするウォール街を救い危機を終結させた男、J.P.モルガンの奮闘ぶりに迫る。
週間東洋経済2009年10月10日号掲載/理論による割り切りでない叙述的歴史の意義を再発見 早稲田大学政治経済学術院教授 若田部昌澄 ※書評者の役職は掲載当時のものです。
編集者より
ノーベル賞受賞経済学者のクルーグマンも「1907年の金融恐慌との類似点は明らかである」と指摘したように、1907年の金融危機は、米国発の世界危機であったことと、資産価値のバブル的な上昇ではなく複雑な金融商品が原因で起こった金融危機という点で今回の2007年サブプライム金融危機に非常に似ているといわれる。
2007年サブプライム危機から溯ることちょうど100年前の1907年秋、取り付け騒ぎで騒然とするウォール街を救ったのは、J・ピアポント・モルガンだった。その後、「今後どんな金融危機のときにもモルガンがいるとは限らない」としてFRB(連邦準備制度)が設立されたのは、あまりにも有名な話である。
本書では、1907年金融危機の起こった背景、そしていかに1つの金融機関への取り付け騒ぎがあっという間に別の金融機関に飛び火し、野火のようにウォール街をなめつくす勢いで燃え広がっていったかを、数日の動きを克明に追うことで紙上に再現し、「私がここで危機を終わらせる」と宣言して獅子奮迅の働きをしたJ・ピアポント・モルガンの活躍ぶりに迫るものである。彼は3週間ばかりの間、彼の会社JPモルガン商会と彼の金融王としてのネットワークを駆使してキャッシュ不足に陥った金融機関を次々と救済し、破綻直前のニューヨーク市を救い、人々の信頼を回復することに専念し、ついにその宣言どおり危機を終結させたのである。
本書では、金融危機を引き起こす要因は何かについて、その7つの大きな要因に迫ることで本質をあぶり出し、さらに危機が起こった後のJ・ピアポント・モルガンの行動をつぶさに追うことで、危機を終結させる手段の本質は何かについても洞察し、現在および将来起こりうるであろう危機への対処の示唆となるものを引きだそうというものである。
目次
ウォール街の支配者たち
システムへのショック
「静かなる」暴落
やせ細る信用
銅の王者
買い占めと引き締め
ドミノ倒し
資金決済機構
ニッカーボッカー信託会社
不信任投票
古典的取り付け騒ぎ
恐らく必要とされるであろう支援
アメリカ信託会社
取引所の危機
渦中の都市
興奮のるつぼ
現代のメディチ
迅速かつ徹底的な救済
危機脱出
連鎖反応
パーフェクト・ストームという名の金融危機
一〇〇年後の考察 二〇〇七年サブプライム危機
著者情報
ブルナー,ロバート・F.(Bruner,Robert F.)
米バージニア大学ダーデン経営大学院学長。企業金融、M&A、新興国市場投資など幅広い分野で研究論文を発表。1982年より、バージニア大学ダーデン経営大学院教授。イェール大学、ハーバード大学ビジネススクール卒(修士課程および博士課程修了)
カー,ショーン・D.(Carr,Sean D.)
米バージニア大学ダーデン経営大学院バッテン研究所企業イノベーションプログラム・ディレクター。10年以上の経験を持つジャーナリストで、CNNやABCニュース(ピーター・ジェニングズのWorld News Tonight)でプロデューサーとして活躍した。作家・研究者として、数多くのビジネス関連書に執筆。ノースウエスタン大学卒。コロンビア大学大学院修士課程修了。バージニア大学ダーデン経営大学院修士課程修了
※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです
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