|
――『夢みることから始めよう』(ダイヤモンド社)をお書きになろうとしたきっかけは何だったんですか?
『夢みることから始めよう』(ダイヤモンド社)の元になったものは、会社の給料袋と一緒に渡していた社員へ向けた手紙なんですよ。それが2年以上続き、まとまってきたので、こういう本のかたちにしました。
もともと、ぼくは「社員を愛する気持ち」は、どこの社長にも負けないと自負しています。それに、ネクシィーズ という会社自体、二十代の社員が多く、社内コミュニケーションを大切にしてきました。若い社員たちは、もうあと一歩、あと三歩踏み出して頑張ればいい時に迷いや諦めが出て踏ん張り切れないことがあるんですね。そうした社員に向けて、「諦めずに頑張れ」と背中を押してあげるつもりで書き続けてきたのが、社員への手紙だったんです。
――なるほど。近藤さんからすれば、二十代の社員も学生も、同じく一世代下の若者なんですね。
実際、ぼくは都内の大学など、いろいろなところで講演をする機会があります。ぼくの講演を聞きに来てくれた若者のなかには、「やりたいことが見つからない」「夢を持てずに、どうしていいかわからない」と訴えてくる人がとても多い。これは、大人たちが「夢を持て、人生の目的と目標を持て」と若者に迫るからだと思うんです。でも、具体的な夢は何だと言われても、そう簡単には答えられるわけがないですよ。
――確かに、二十代ともなれば、夢を問われて今さら「宇宙飛行士」「お嫁さん」というわけにはいかないですしね(笑)。
たとえば、ぼくの最初の夢は、自分のクルマを買うことでした。その経緯については『Dreams〜夢は大空へ、努力は足元へ〜』(JIVE)でも触れていますが、いまから18年前のその頃には、ケータイがこれほど普及することすら考えられなかった。100年に一度の情報産業革命と呼ばれるIT革命なんて、なおさらです。だから、大それた夢ではなかったわけですが、とにかく、自分のクルマを買おうと仕事を頑張りました。
仕事を頑張るうちに成績もアップし、当時いた業界内で名前も知れ渡るようになったのですが、とうとうクルマは買いませんでした。なぜなら、1歳の子供が5歳になり、青年になっていくように、努力によってどんどん視野が広がって新しい目標が出てきたからです。つまり、夢とか人生の目的などという前に、まず行動することが大切なんですね。夢や目標は、後からついてくる。直面する自体や仕事に一所懸命、真面目に取り組んでいれば、何かに気付くものです。そこで気付いたものは、必ず尊いものとして、身になっていきますよ。
――しかし、頭でわかっていても、行動できないから不安になるのでは?
逆の言い方をしましょう。最近、よく「10年後、どうなりたいですか?」と訊ねられます。答えとしては「わかりません」という以外にないんですね。だって、10年前の自分と比べると予想できなかったぐらい、今でも大成功してますよ。神様がいて10年前に、「現在と同じ成功をいますぐあげる。それ以上はあげないよ」と言われたら、無条件で「はい、お願いします」と答えただろうなと自分で思うぐらい成功してる。でも、それはいまの自分がピークだと自分で認めてしまうことでしょう。どうせなら、10年たっても、「あのときのオレは、まだまだ大したことなかったな」と言える自分でいたい。何であれ、諦めたらそこが挫折なんですね。諦めなかったら、まだ先に道が続いているということです。
――なるほど、悩んでるだけだと、最初から諦めていることに等しい、と。
ぼくが最初に創業した頃は、まだベンチャー、起業という言葉が一般的ではなかった。何と呼ばれたかというと、「若造」ですよ。「若造」だから、なかなか認めてもらえない。そこで、常に他人の期待を超えて、超一流の仕事をしようと、いつも思ってきました。いまでもベンチャーという感じはしませんね。だって、最近のベンチャー企業家とは、闘ってきた相手の質と数が違いますよ。
ただ、闇雲に頑張ればいいというものでもない。ぼくの人生でも、頑張ってもできていないことのほうが多いですよ。でも諦めてないから、違うかたちで、それ以上のことができてしまってる。それを経験して知っているから、何かトラブルがあっても、それを乗り越えたら楽しいことがあるんだと、諦めなくて済むようになるんですね。
――自律的に、主体的に仕事や課題に取り組む?
主体的に取り組むことも、もちろん大切です。例として、仕事選びをあげましょうか。仕事を選ぶ時に大切なのは、ビジネスモデルや将来性だけではありません。自分の感性を信じて「なんとなく面白そうだ」と思った会社、仕事を選ぶことです。理由はわからないが、惹かれたのであれば、思い切って挑戦してみればいい。「なんとなく」であっても、自分で選ぶという主体性に重きをおくわけですね。主体的に選んだら、あとは言い訳せずに頑張る。利益、業績、知名度なんて基準は、自分以外のところにあるものでしょう。そんなもの、本当に信じられますか?
――いえ、信じられませんね(笑)。
自分を信じることができるようになるには、常に素直な心でいることが肝心です。ぼくが尊敬している人は、みんな共通して「感動人間」。他人を感動させることができる人は、すごく純粋で素直ですよ。ぼくが人を見るときは、「一所懸命か」「性格が良いか」「情熱があるか」というところで見ます。何も難しいことではなくて、全部、誰もが持っていることですよ。ただ、それを、いつ、どこで、どんなかたちで出すか、出し方に人間性が現れるんです。
――どのような人に読んでもらいたいですか?
自分の経験を踏まえて、まだ何事も始める前に躊躇している若者に、一歩踏み出す勇気、諦めない元気、やり遂げる根気をあげられればと思って書いたのが、『夢みることから始めよう』(ダイヤモンド社)です。この本を通じて、若者には、「社会って、すごい楽しいぞ」と言いたいんですよ。隣の家の普通の兄ちゃんみたいな、ぼくでもここまで成功できたんだから、君たちにもできないはずがない、と。
「20代のあなたへ」とサブタイトルがついていますが、親御さんにも読んでもらいたいですね。子供たちの気持ち、質問に答えるように書いているわけですから、いま子供が何を考えているか、どのような悩みに直面しているかが、よくわかると思います。
|