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『星をかった日』井上直久/作
『星をかった日』
井上直久/作
架空社
価格:1,733円

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井上さんインタビューの様子――映画の「星をかった日」にも、モグラとカエルのキャラクターが出てきますね。映画化の経緯をうかがえますか?

井上 ジブリ美術館が開館したとき、宮崎駿さんとの話から僕が中央ホールの壁に絵を描くことになりました。お客さまが見てる前で描いてほしいといわれまして。閉館後、様子を見に来られた宮崎さんと雑談をしていて、以前描きかけた絵本の話になったんですね。宮崎さんってね、普通の雑談と、何かアイデアがあるという話をするときでは、全然聞き方が違うんです。それまで「はあはあ」とあいづちをうってたのが、『星をかった日』の構想をちょっと話したら、少年が宝物見つけたみたいに目をキラキラ輝かせながら「それで? それからどうなるんです?」って。だから「ちいさい女の子が市場に行って野菜と交換で星を買うんですけど。その星を育てて、だんだん大きな星にして、その上に住むんです」というような話をしました。「星を買うならやっぱりキュウリやトマトじゃない、かぶらという感じですよね?」って僕が言ったら、宮崎さんも「そうね」って。興味を持ってくださったみたいで、次に会ったときに「井上さん、あの話、映画にできますよ」って言われたんです。

――井上さんの絵本は女の子の話ですが、映画の主人公は“イバラード”のシリーズに出てくるノナ少年。男の子ですね。

井上 宮崎さんは映画の話をするときに「星を男の子がね……」って言うんです。「宮崎さん、女の子なんですけど」って僕が言ったら「いや、女の子でもいいんです。その女の子が星を買ってくるんですよ。だけどその星は、掌に入るぐらいの大きさじゃないといけない。ひよこを買ったときみたいに手の中に入れて持って帰るぐらいがいい。それを買って帰った男の子がね……」ってまた男の子になってるんですよ(笑)。「その男の子が星をベッドサイドに置いて、夜じゅう心配で何度も見に行ったり、ちょっと大きくなったら、窓から飛ばしてやって、戻ってくるのをドキドキしながら待ったり……」って、完全に話ができてるんです。宮崎さんの話もすごく面白そうだけど、僕ももとの話がありますから、どうまとめようかと思っているうちに年月がたってしまいました。

――宮崎監督もパンフレットの中で“井上さんの構想が時間がたつうちにひとりでに芽が出てしまった”“自分は一寸ルール違反のところがあるかもしれない”という旨のことをおっしゃってますね。

井上 そんなある日、鈴木(敏夫)さんが僕のところに来られまして。来たときにはもう、絵コンテができてるんですよ(笑)。ちょうど「ハウルの動く城」が終わって、宮崎さんに時間ができたときだったんですね。

星の森――映画を見てみると、宮崎監督オリジナルの世界でもあるんですが、ちゃんと“イバラード”の世界観が表現されているという印象です。

井上 宮崎さんの絵コンテを見て、「宮崎さん、イバラードの設定にすごく詳しいですね」って感心してたら、「僕は『イバラード物語』を何度も読みましたからね」って、バシッと言われました。「僕ぐらい読んでる人めったにいませんよ」って(笑)。魔法に関する話や、ラピュタと惑星の違いも、きっちり設定をふまえて再構築されてるんですよ。すごいなと思いました。モグラとカエルのキャラクターも、原作の味も出てるけども、プラスアルファがあって、ちょっと格好よくなってるんですね。原作ではもうちょっと情けない魔法使いなんですけどね。宮崎さん、身近な人のキャラクターを使うときは、特徴を出したり、えぐったりはしても、もとのキャラクターよりは明るく面白くしてしまうんですけど。これは逆に、もとのキャラクターより渋く深くなってるので「へえ〜っ」て。ちょっとびっくりしました。すごくいいと思います。(了)
インタビュー/文 石井千湖
 
 
土星座の様子 三鷹の森ジブリ美術館映像展示室「土星座」にて「星をかった日」など、ジブリオリジナル短編アニメーションを上映中
★土星座とは?

地下1階にある映像展示室「土星座」は、80人ほどが入れる小さな映画館です。ここでしか見ることのできないジブリのオリジナル短編アニメーションや他ではめったにみることのできない良質なアニメーション作品が公開されます。
©Museo d'Arte Ghibli

星をかった日
星をかった日
中央ホールの壁画「上昇気流」の作者井上直久画伯の原作。空想の世界イバラードの不思議な物語。ノナ少年はいつの間にか誰もいない砂漠をひとりで歩いていました。ノナは、そこでふしぎな女性ニーニャと出会い、彼女の農園の小屋で暮らし始めます。そんなある日、ノナは野菜とひきかえに星の種を手に入れて育てることにします。
水グモもんもん
水グモもんもん
水グモのもんもんはある日、水面を自由に滑るアメンボのお嬢さんと出会います。なんて愛らしく、スマートなんだろう、と、もんもんはすっかり心を奪われてしまいます。果たして、もんもんの思いは通じるのでしょうか・・・。
やどさがし
やどさがし
元気な女の子のフキは、新しい家をさがしに旅に出ます。大きなリュックにいるものはみんなつめて、さあ出発。次々と出会う奇妙なものたちをフキはどうやって切り抜けていくでしょう。セリフがほとんどなく、すべての音声(音楽・効果音・セリフ)を人の声だけで表現します。また、画面に場面に沿ったものの動きや様子・音をあらわす文字が現れるという珍しい作品です。

上映期間:
5/20(土)〜 7/31(月)

上映期間:
8/2(水)〜 9/29(金)

上映期間:
3/15(水)〜 5/7(日)
三鷹の森ジブリ美術館の入場は予約制。詳しくはホームページを確認下さい。
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