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| 宮崎吾朗(みやざきごろう)さん |
1967年、東京生まれ。
信州大学森林工学科卒業後、 建設コンサルタントとして公園緑地や都市緑化などの計画、設計に従事。その後’98 年より三鷹の森ジブリ美術館の総合デザインを手がけ、’01年より’05年6月まで同美術館の館長をつとめる。2004年度芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。 |
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| ジブリ美術館の魅力を収録したDVD『宮崎駿とジブリ美術館』が先頃リリースされた。このDVDは、ジブリ美術館を一つの宮崎作品と位置づけ高畑勲監督の解説で、その魅力を分析していく内容。DVD『宮崎駿とジブリ美術館』の中では果たして何が解き明かされているのか? DVDを企画から担当した宮崎吾朗さんに、その意図と内容について聞いた。 |
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――先頃リリースされたDVD『宮崎駿とジブリ美術館』ですが、そもそもこの企画はどうしてスタートしたんでしょうか?
宮崎 たとえば映画は完成すると、そのままの形でソフト化され、ずっと完成時の姿で見られますよね? それに対して美術館という施設は時間が経つにつれてどんどん変化していくものなんです。するとやがては建設した当初のことがわからなくなってしまうこともありえるわけで。だからジブリ美術館の当初の状態を記録し、そもそもどういう考えで建てたのかという部分を何らかの形で残しておきたいという考えは、オープン当初から持っていたんです。それがこのDVDの企画の発端ですね。
――施設の紹介をするDVDだと、もっと各展示にフォーカスした、プロモーションビデオ的内容にするのがオーソドックスだと思います。ですが、このDVDはあえてそういう作り方をしていません。
宮崎 そうなんですよ。意識したのは、NHKの番組――『新日曜美術館』や『NHKスペシャル』なんです。
――ナレーションを加賀美幸子さんが担当されているのは、そういう狙いがあったわけですね
宮崎 ジブリ美術館にとって最大の展示物は何かといった時、それは結局、建物そのものなんです。だからDVDで一番記録したかったのも、その建物がどういう考えに基づいて立案され建設されたか、という部分になります。そこにあるのは「ジブリ美術館の建物の魅力はどこから生まれるか」という疑問を解き明かしていくタイプのおもしろさです。それを伝えるのには「いろいろたのしいものがありますよ」的にプロモーションビデオの作り方をしたのでは伝わらないんですね。もっとアカデミックにアプローチをしないと。
――そのアプローチの案内役が、宮崎駿監督とともにアニメーション史に残る作品を作り続けてきた高畑勲監督です。これはどういう狙いがあったのでしょう?
宮崎 エンドクレジットを見ていただけるとわかりますが、このDVDの“原作”として高畑監督がジブリ美術館オープン時に書いてくださった「宮崎駿の新しい贈り物」という文章がクレジットされています(ジブリ美術館の図録などに収録)。
――ドキュメンタリーに“原作”ですか?
宮崎 はい。高畑監督のこの文章は、非常に的確な言葉でこの美術館の魅力を伝えるものでした。というのも、僕たち美術館建設スタッフも、高畑監督のこの文章を読んで、初めて自分たちが何を目指してこの建物を造ってきたかを理解することができたんです。ですのでDVD用の映像制作にあたっては、この文章をガイドにして、高畑監督自身に語っていただこうと思ったのです。
――高畑監督はその文章の中で、「まさかそれ(美術館)自体を、贅を尽くした最大の展示物にするつもりだったとはね」「宮さんが目指していたのは、『美術館』という名の心躍る空間作りであり、小宇宙の建設だったんだね」と書かれています。
宮崎 その通りですよね。建設に携わった人間からすると、例のない不思議な建物を造っているという自覚こそあったんですが、建設している最中はそれが何なのかはっきりわかっていなかったんですね。それを高畑監督が言葉にしてくださったおかげで、「ああ、そう! 空間構成の魅力そのものが、この建物を最大の展示物にしているんだ」ということをちゃんと理解することができたのです。
――DVDの中のジブリ美術館は館内に差し込むさまざまな光がひときわ印象的でした。
宮崎 光によって空間そのものが変わりますからね。昼間のジブリ美術館と夜のジブリ美術館ではまったくその表情は変わります。あと建物そのものが、影の部分が多いのも、光が印象的な理由だと思います。今は美術館を筆頭に、あらゆる建物が、影を消してしまおうとしています。美術館の展示室を「ホワイトキューブ」(白い立方体)と表現するのはその典型ですよね。その中にあって、ジブリ美術館は影の部分も大切にした建物になっています。 |
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