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ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル「宮崎駿とジブリ美術館」
ジブリがいっぱい
COLLECTIONスペシャル
「宮崎駿とジブリ美術館」
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
価格:3,392円

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宮崎吾朗さんと高畑勲監督――DVDの中で高畑監督は、ジブリ美術館の好きな場所の一つとして、ホールにある「くぐりくぐり」(階段下の小さな空間に扉などがついた、くぐって遊べる不思議なスペース)を挙げています。

宮崎 あの高畑監督が「ここが好きなんですよ」という場面などは、まさに映像でないと伝わらない魅力がある場面です。高畑監督がちょっと照れながらも、体をかがめてくぐろうとするその雰囲気が伝わってきます。ほかにもやはり空間を描くには、カメラがリアルタイムで動いたほうがわかりやすいわけで、そういう部分は動く映像ならではの内容になっています。

――高畑監督が、ジブリ美術館の本質をずばり掴むことができたのは、やはり宮崎監督と長年仕事を共にしてきたからでしょうか?

宮崎 それはそうです。宮崎監督は『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』で、高畑監督の下、場面設定・画面構成という、いわば世界を作る役割を果たしていました。この経験が、後に監督になった時に大いに役立っています。

――DVDの中では、ジブリ美術館の構成と宮崎作品の共通点も紹介されています。

宮崎 例えば、空間構成の仕方ですね。宮崎作品では建物の低いところから入って、物語の盛り上がりと共に高いところへと昇っていく。これはジブリ美術館が地下1階からスタートして次第に上に昇っていく構造とそっくりです。また、魅力的なディテールを積み重ねて全体を構築していくという作り方も共通しています。つまりジブリ美術館というのは、もう一つの宮崎作品なんです。ですから、ジブリ美術館がどうして生まれたのかを知ろうとすれば、それは自動的に宮崎作品のおもしろさの秘密を知ることとイコールなんです。ですからこのDVDの見所の一つは、ジブリ美術館を通じて、宮崎作品の原点が確認できるところであり、それを苦楽をともにしてきた高畑監督が語っているというところにあります。むしろ、実はそこが一番のテーマといってもいいでしょう。DVDのタイトルに「宮崎駿と〜」と入っているのは、そういう意味も込められています。

取材の様子――宮崎作品の原風景、という意味でジブリ美術館のデザインにも影響を与えたと思しき、ヨーロッパ各地へも取材を行っています。

宮崎 '04年9月15日から4泊6日のスケジュールで、イタリア山岳都市とジェノバを訪れ撮影を行ってきました。その映像もDVDの中に収録されています。山岳都市は、『紅の豚』のロケハン旅行で宮崎監督が鈴木敏夫プロデューサーらと訪れたところです。またジェノバは『母をたずねて三千里』の冒頭の舞台で、やはり高畑監督らとともにロケハンに訪れた場所です。高畑監督へのインタビューの中で、宮崎監督にとって重要といえるこれらの場所の名前が出たことを踏まえて取材を行いました。それでジェノバへ行ってみて驚いたんですが、非常に正確に描かれていて驚きました。今から30年近く前のことなので、きっと写真なども潤沢に撮影できたとは思えない中、煙突の形や起伏のある街並みなどが非常に正確に描かれているのです。また、DVD本編の中にも出てきますが、現地の人に宮崎監督が当時描いた「マルコの家の設定」を見てもらいました。彼もジェノバの庶民の家がちゃんと描かれていることに驚いていましたね。

――高畑作品や宮崎作品が、リアリティのある世界でドラマを繰り広げられるのは、そういう現実に立脚した世界の厚みがあるからなんですね。

宮崎 そういうことがあるから、ジブリ美術館の建物も、表面だけヨーロッパ風にしたハリボテにはなっていないわけです。つまり、そういうことが実感していただけるDVDを目指したのです。

――一方、映像特典には「宮崎監督の友人インタビュー」と題して、ピクサー・アニメーション・スタジオのジョン・ラセター監督(『トイ・ストーリー』など)や、ロシアのアニメ作家、ユーリー・ノルシュテイン(『話の話』など)も登場して、ジブリ美術館の魅力を語っています。この2人とはいわば、アニメーション作家の“東西横綱”なわけで、非常に豪華な顔ぶれです。

宮崎吾朗さん宮崎 お二方ともジブリ美術館にいらっしゃる機会があったので、その時に取材させていただきました。ラセターさんは3DCGを駆使したエンターテインメント映画、ノルシュテインさんは切り絵を使ったハンドメイドのアート作品と、つくっている映画は非常に対照的なんですが、ジブリ美術館に関しての感想は非常に近いものがあったのが印象的でした。お二人とも、実物に触れる、能動的に体験することの重要さをジブリ美術館の魅力を絡めて語ってくださったのです。

――DVDを制作されていかがでしたか?

宮崎 僕自身が、改めてジブリ美術館を再発見する機会になりました。ですからこれをご覧になっていただくと、今まで当たり前に見ていた美術館の建物が、もっと違って見えるようになると思います。ジブリ美術館を訪れた後にご覧になられてもいいし、訪れる前に見ていただいてもいいと思います。さらには、このDVDでも紹介した、宮崎作品のイメージの源泉となったヨーロッパ各地へ行かれてもおもしろいでしょう。自分がその場所に立って、空間全体を体験するというのは、何物にも代えることのできないことです。映像だけで満足するのではなく、実物を体験し、それを記憶に留めていく。それこそが、ジブリ美術館を含めた宮崎作品を楽しむということだと思います。
インタビュー/文 藤津亮太
©Museo d'Arte Ghibli
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