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6月、ジブリから2冊同時発売となるのは奇しくも宮沢賢治の作品。
「種山ヶ原の夜」は元々戯曲として書かれたものですが、ジブリ作品で美術監督を務めるなどしてきた男鹿和雄が、岩手・種山ヶ原の風景に魅せられ紙芝居映像としてDVD化。絵本には、この映像のために描かれたものに描下ろしを加えました。
「セロ弾きのゴーシュ」は高畑勲脚本・監督作品で、1980年オープロダクションによって制作された劇場用アニメーションです。20年以上の時を経て絵コンテが本にまとまりました。
多くの人に愛され受けつがれる宮沢賢治作品。今回ジブリからお届けする作品も長年賢治を敬愛する作り手が、丹念な仕事で作品化したものです。
美しい風景を舞台に山の暮しを描いた絵本と、音楽家の青年と動物たちの不思議な交流をアニメーション化するために練られた絵コンテ。どちらも宮沢賢治の世界を独自の作品として映像化する意欲の伝わる2冊です。
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『種山ヶ原の夜』

原作 宮沢賢治
翻案(絵と文) 男鹿和雄
定価:2415円(本体価格2300円+税)
A4横ハードカバー/オールカラー72頁 |
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この本の翻案(絵と文)を手がけた男鹿和雄さんは、「となりのトトロ」「平成狸合戦ぽんぽこ」などで美術監督を務めており、現在はこうしたアニメーションの背景ばかりではなく、吉永小百合さんが編まれた詩集『第二楽章―ヒロシマの風』(講談社)などのイラストを手がけるなど、活動のフィールドを広げています。
男鹿和雄さんが描く山や里、どこまでも広がる草原は澄んだ光と空気に溢れています。それらの絵を見て、知らず知らずのうちに心が和ませる方も多いと思います。高畑勲監督や宮崎駿監督の信頼も厚く、スタジオジブリのアニメーション制作において欠かすことのできない存在でもあります。
その男鹿さんが、ずっと心を惹かれていた宮沢賢治原作の『種山ヶ原の夜』を絵にし、まとめたのがこの絵本になります。
男鹿さんがこの作品に惹かれた理由は大きくは2つ挙げられます。一つは豊かな方言の表現。もう一つはこの作品の背景となっている人々の暮らしぶりへの憧れです。
種山ヶ原は賢治のお気に入りの場所で、その作品にもよく登場する実在の地。男鹿さんがその種山ヶ原をどう描いたのか、ぜひこの絵本で味わっていただければと思います。
なお、余談になりますが、この本の発売にあわせ、スタジオジブリ発行の小冊子『熱風』(6月10日発行号)に、男鹿さんへのインタビューが掲載されます。「種山ヶ原の夜」をどのような思いで作ったのか、謙虚で実直な男鹿さんの一面を垣間見ることができると思います。機会があれば、こちらもぜひ読んでいただければと思います。
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「セロ弾きのゴーシュ」はオーケストラ内で足を引っ張るさえない楽士が、夜毎訪れる動物たちに何かしら演奏をさせられ、いつの間にか腕を上げるという不思議な物語です。文学ならでは、動物が人間の言葉を話し、音楽を解し、演奏もする。文字で曲名や曲調は示されていても当然旋律は不明。アニメーション作品にするにあたってこうしたことをクリアしていかなければならないわけですが、それはぜひDVDで本編を見て、成果を確認していただきたいものです。
絵コンテはそうした諸々の設定や演出上の意図を組み込んだ“映画の設計図”です。カメラワークや映像の処理、キャラクターにどんな芝居をさせるか…全ての基本がここにあり、制作スタッフはこれを元に仕事をします。さらに「〜ゴーシュ」の場合、劇中で演奏されている音楽―例えばベートーヴェンの交響曲―と、動物の動き、場面の展開が合うよう工夫されていることが、細かな指示でわかります。台詞や動きのタイミングと曲中のどの小節があうのか、キャラクターがどういう表情の時、曲のどの部分があたるようにするのか、そんなことまでが絵コンテの中で指示されているのです。
賢治の有名な作品を賢治の作品らしく、そしてアニメーションだからできることを存分に発揮している映画の作り手の仕掛けを知る事ができる一冊です。 |
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