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商品紹介
春のめざめ 三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー
春のめざめ 三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー
徳間書店
価格:1,680円(税込)

スタジオジブリ関連リンク
三鷹の森ジブリ美術館
『スタジオジブリ』HP
『アードマンスタジオ』HP

スタジオジブリタイトル
 
日本初の本格的なアニメーション美術館である三鷹の森ジブリ美術館。「世界の優れたアニメー ション作品をもっと多くの人に知ってもらいたい」 という理想のもと、美術館内の展示だけではなく、 “映画館での上映”や“DVDのリリース” でも、 作品を紹介することになりました。 名づけて「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」。 これから、高畑勲・宮崎駿両監督が若き日に影響 を受けた作品、日本ではまだ馴染みのない世界 の名作・傑作を次々と紹介。 映画は東京・渋谷のシネマ・アンジェリカを中心に 順次公開、DVDは、ブエナ ビスタ ホーム エンター テイメントから、スタジオジブリ作品と並行して一般家庭にお届けしていくそうです。
 
特集トップ 「春のめざめ」関連本 ペトロフ監督の技法 世界のアニメーション
   19世紀末、ロシアのとある町が舞台。貴族学校に通う16歳の少年アントンは、ツルゲーネフの『初恋』を読み、女主人公ジナイーダに夢中。たびたび妄想に浸り、勉強も手に付かない。 彼の家に住み込みで働く少女パーシャは、ひそかにアントンに恋心を抱いていた。それに気づいたアントンは、彼女との愛の行方を夢想してみる。 たとえ貧しい娘であろうとも、二人の間に本物の愛があれば、必ずや幸せな家庭を築けるだろう、と。 パーシャを気にかける一方で、アントンは、隣の家に引っ越してきた令嬢セラフィーマに出会う。彼女は美しく高貴で、まるで女神そのものだった。衝撃を受けた彼は、セラフィーマに捧げる愛の詩を書き、彼女の家に投げ込む。
 初恋の甘い興奮に翻弄されるアントンは、年齢も境遇もまったく違う二人の女性、パーシャとセラフィーマの間を揺れ動く。清く精神的な愛を真剣に考えながらも、抑えきれない衝動が彼を身勝手で浅はかな行動へと駆り立ててゆく。
 縁談話が持ち上がったパーシャは、アントンに初めて愛の告白する。そんな時、セラフィーマからアントンに逢引の手紙が届く。そして生まれて初めての逢引へと身を投じるのだった…。
 
   
 
   一昨年、イタリアのキアヴァリで行われたアニメ映画祭で、二十一世紀に入ってからの五年間で最も優れた短編アニメーション作品を選び、顕彰しました。その最優秀作品に選出されたのが、デュドク・ドゥ・ヴィット氏の『父と娘』です。審査員(私もその一人)全員一致、文句なしでした。 このたび、その大好きな『父と娘』(邦題「岸辺のふたり」)との二本立てで、ペトロフ氏の新しい傑作『春のめざめ』(原題「わが恋」)が三鷹の森ジブリ美術館第一回提供作品として劇場公開されることになり、心から喜んでいます。しかも、両作品の音楽を担当したのが、これまた『木を植えた男』など、敬愛するバック氏の主要全作品を手がけたロジェ氏であることも嬉しい偶然です。
  世界には、短編・長編を問わず、日本にはない種類の素晴らしいアニメーション作品がいくつもあります。にもかかわらず、一部の熱心なファン以外、そういう作品に接する機会は残念ながら非常に少ない。「アニメ大国」であるがゆえにかえってそうなのです。この現状を憂えて、すでにスタジオジブリでは『キリクと魔女』『王と鳥』の公開に尽力しましたが、これからは、三鷹の森ジブリ美術館が配給活動を継続的に行うことに踏み切り、なかなか目に触れることのない世界の面白いアニメーションを劇場に提供していくことになりました。その第一弾が今回の二作品です。
  いわゆるアート・アニメーションには、恋愛ものでも、異常心理を扱ったものならいくらでもあります。しかし『春のめざめ』のように、思春期のごく普通の少年の心理を真正面から取り上げて描くことは、これまでになかった試みではないかと思います。そしてそれにペトロフ氏は見事に成功しています。その成功の鍵は、『老人と海』などで人々を驚嘆させたペトロフ氏の恐るべき絵画的アニメーションの威力です。 油絵のようなリアルさをもちながら、同時に変容し続けて捉えがたい印象を与えずにはおかないその表現こそ、夢かうつつか、少年が憧憬と現実と幻想の間を行き来する姿を描画するのにぴったりでした。少年のときめく心を写し出しているかのようなおぼろげな外界、少年の目に映った女性たちの鮮やかさでありながら切れ切れの印象、揺れ動く少年心理で色染められたそのきわめて主観的な夢想や厳格、はては少年の受けた精神的衝撃の強烈さ。
  それにしても、ペトロフ氏はなぜ古めかしい帝政ロシア時代の貴族の子弟の恋を描いたのでしょうか。ノスタルジーなのでしょうか。それもあるかもしれません。しかし私は、この時代の貴族階級の少年は、思春期恋愛感情(春のめざめ)の普遍的な三つの原型を体験できる位置にいたからこそ、取り上げたのだと思います。身近な同年輩の少女との触れあい、年上の「女神」への憧れ、誘惑に負けて受ける性的な手ほどき。『春のめざめ』の場合、最後の原型はただ暗示されるだけですが。
  この作品は多くの男性諸氏にとっては思い当たる節だらけでしょうが、思春期の少年心理の何たるかを見事に描きだしている点で、現代女性にとってはもちろん、大人になっても思春期から抜け出そうとしてない諸君、「当たって砕け」たことのない諸君、平面キャラに「萌え」を感じている諸君にも面白く有益なのではないでしょうか。
(「春のめざめ」プレスシート「素晴らしい二作品より)
※高畑監督が文中触れているアニメーション作品は、
本特集の「世界のアニメーション」で紹介しています。
高畑 勲監督プロフィール
1935年生まれ。東京大学仏文科卒業後、東映動画へ入社。劇場用映画「太陽の王子ホルスの大冒険」('68)で初監督。以後、「アルプスの少女ハイジ」('74)、「母をたずねて三千里」('76)、「赤毛のアン」('79)(以上、TV演出)、「セロ弾きのゴーシュ」('82)、「じゃりン子チエ」('81)、「火垂るの墓」('88)、「おもひでぽろぽろ」('91)、「平成狸合戦ぽんぽこ」('94)、「ホーホケキョとなりの山田くん」('99)を発表。「風の谷のナウシカ」('84)、「天空の城ラピュタ」('86)のプロデューサー。他に、スタジオジブリ初の洋画アニメーション提供作品として、「キリクと魔女」(ミッシェル・オスロ監督)の日本語版翻訳・演出('03)、また'06年7月公開の「王と鳥」(ポール・グリモー監督/ジャック・プレヴェール脚本)の字幕翻訳も手がける。

 
   
 
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